調査実績

6月22-23日実施 全国世論調査の分析と結果

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岸田内閣支持17%・不支持71%、ともに横ばい

-「代わる人のいない」真空状況が続く-

 

 第213回通常国会が閉会しました。社会調査研究センター(SSRC)では、6月22日(土)~23日(日)に全国世論調査を実施しました。SSRCが定例で実施する「dサーベイ世論調査」は、前回の24年3月から少し間隔があきましたが、今回から再開いたします。

 

■岸田内閣 : 支持率17% vs 不支持率71%
 今回のSSRC全国世論調査における岸田内閣支持率は17%(3月=16%)、不支持率は71%(同73%)で、ともに横ばいでした。不支持が支持を大きく上回る傾向に変化はありません。2割未満という危機的な超低支持率にもかかわらず、ニュースとして世間に注目されることもなくなりつつあるように思われます。
 〔図1〕をご覧ください。年齢別の内閣支持率・不支持率を示しています。支持・不支持双方ともフラットな形状で、とりわけ、不支持に関しては全年代で6割以上の大多数を占めており、「ロスト・オール」状況が続いています。

 

〔図1〕岸田内閣支持率・不支持率(年齢別)

 

支持政党別の内閣支持率に関しても、自民党支持層(全体で18%)でこそ60%を確保しているものの、多数派の支持政党なし層(同52%)での支持率は6%と、きわめて厳しい評価が示されています。〔表1〕

 

〔表1〕岸田内閣支持率・不支持率(支持政党別)

 

■「(首相になってほしい人が)いない」が35%
 さて、9月には自民党の総裁選挙が予定されています。今月の調査では、「岸田首相が総裁に再選されて首相を続けた方が良いと思いますか」という質問を設定しました。結果は、「続けた方がよい」がわずか8%にとどまり、「交代した方がよい」は63%で多数を占めました。ただし、「どちらとも言えない」という回答も27%で3割近くにのぼっています。
 後掲の「日本の首相になってほしいと思う人」を選んでもらう質問においても、「いない」の比率が35%と相対的多数を占めました。
 岸田首相のリーダーシップや内閣の取り組みに対する社会の評価はいずれも厳しいものの、だからといって、「代わりになる人もいない」、「他にだれがいるの?」という真空状況が、現政権を存続させているのかもしれません。

 

■内閣支持・不支持と相関するもの
 ここからは、内閣の支持・不支持と、政治が直面する諸課題とのクロス結果を確認してみましょう。〔表2〕は、「企業・団体献金に関する議論」、「子育て支援をめぐる取り組み」、「選択的夫婦別姓制度の導入」などに関して、各課題に対する「賛成派(評価する・続けるべき)」、「反対派(評価しない・必要はない)」、「わからない(どちらとも言えない)」ごとに支持率・不支持率を算出したものです。表中、それぞれの課題に関する「評価する」・「評価しない」などの下の( )内に表示した数値は、全体における比率に相当します。
 今回の国会における焦点であった政治資金問題のうち、持ち越しとなった「企業・団体献金献金の禁止」に関して、全体で64%の多数を占めた「議論を続けるべきだ」派では、内閣の不支持率が81%という高率を示しています。さらに、通常国会で成立した「(改正)子ども・子育て支援関連法」など岸田政権の子育て支援への取り組み実績を、「評価しない」(全体で56%)と否定する人たちにおける内閣不支持率は、91%に達しています。
 一方、「選択的夫婦別姓制度」の導入問題に関しては、「賛成」派-「反対」派間の内閣評価に相違はほとんど見受けられません。

 

〔表2〕内閣支持・不支持の弁別要素

 

■「選択的夫婦別姓制度の導入」:賛成47%、反対15%
 日本社会のアドホックな課題として「選択的夫婦別姓制度」の問題が存在します。SSRCでは、3月に引き続いて、制度導入への賛否を聞きました。6月調査の結果は、「賛成」が47%(3月=51%)、「反対」が15%(同15%)で、3月にくらべてやや減少したものの、「賛成」派が多数を占めました。ただ、「どちらとも言えない」という保留派も37%(同33%)と相応の割合にのぼっています。
 〔図2〕は、年齢別の回答比率をまとめたものです。「賛成」派が全年代で多数を占めており、年齢間の値の相違もそれほど大きくはないフラットな形状が確認できます。「反対」派の比率も、すべての年代で2割を下回っています。しかしながら、「どちらとも言えない」の構図、とりわけ6月の形状に注目してください。30代と40代という比較的若い世代で「どちらとも言えない」が4割以上を占め、比率も「賛成」派と拮抗しています。この傾向をどのように読み取ればいいのでしょうか。

 

〔図2〕選択制夫婦別姓制度への賛・否(年齢別)

 

■次期衆院選の投票意向:自民と立憲民主の対決か
 今回の国会中に解散・総選挙が行われることはありませんでしたが、9月の自民党総裁選後の今秋には衆院選が予想されています。
 dサーベイ世論調査では、「今、衆議院選挙が行われたら、比例代表でどの政党に投票しますか」を聞いています。6月調査の結果は、自民党が17%(3月=13%)、立憲民主党が17%(同14%)、日本維新の会が9%(同12%)となりました。三つ巴状態だった3月に比べて、日本維新の会が減少し、自民党と立憲民主党が拮抗する構図に変わりました。
 〔図3〕は、年齢別の投票意向を示しています。左図(3月)における18~29歳から50代までの3政党の団子状況が、右図(6月)では、日本維新の会の18~29歳、30代および50代での比率が低下することにより、政党間の値にやや差が生じています。トータルの形状からは、自民党対立憲民主党の構図が読み取れますが、果たして本番の総選挙時にはどのような状況が現出しているでしょうか。

松本 正生(社会調査研究センター 代表取締役社長)

 

〔図3〕次の衆院選の投票意向(年齢別)

 

■世論調査の新たなスタンダード:「dサーベイ」
 今回の調査は、24年6月22日(土)午後5時からメールを配信し、全国で2043人から有効回答を得ました。
 「dサーベイ」とは、NTTドコモのdポイントクラブ会員を対象とするWeb(インターネット)調査です。社会調査研究センターとNTTドコモが共同開発した「dサーベイ」により、全国の18歳以上の約6,800万人を母集団としたランダムサンプリング(無作為抽出)調査が実施できるようになりました。
 社会調査研究センターでは、すでに、21年衆院選、22年参院選、23年統一地方選など、各種の選挙調査で蓄積したデータを解析し、地域・性・年代別の人口構成に合わせてメールを配信する「配信設計モデル」を構築しました。22年10月からは、内閣支持率などを検出する世論調査も「dサーベイ」に切り替え、「SSRC全国世論調査」として定例実施しています。

 

選択的夫婦別姓制度の導入について(自由記述回答➀)はこちら

衆院選後の望ましい政権は(自由記述回答➁)はこちら

 

6月全国世論調査の質問と回答

  全体 (前回) 男性 女性
問1 あなたは、岸田内閣を支持しますか。
 

支持する

17% (16%) 17% 18%
 

支持しない

71% (73%) 75% 67%
 

答えない

12% (12%) 8% 15%
問2a 【問1で「支持する」と答えた方に】 あなたが岸田内閣を支持する理由を選んでください。
 

岸田首相が信用できるから

18% (22%) 19% 18%
 

自民党の政権だから

32% (30%) 35% 29%
 

自民党と公明党の連立政権だから

11% (9%) 12% 10%
 

政策が期待できるから

10% (8%) 11% 8%
 

なんとなく

18% (20%) 13% 23%
 

その他

11% (11%) 10% 12%
問2b 【問1で「支持しない」と答えた方に】 あなたが岸田内閣を支持しない理由を選んでください。
 

岸田首相が信用できないから

31% (29%) 33% 28%
 

自民党の政権だから

9% (14%) 10% 8%
 

自民党と公明党の連立政権だから

7% (6%) 7% 6%
 

政策が期待できないから

49% (46%) 46% 52%
 

なんとなく

2% (1%) 1% 3%
 

その他

2% (4%) 2% 2%
問3 あなたは、どの政党を支持しますか。
 

自民党

18% (16%) 21% 16%
 

立憲民主党

10% (9%) 11% 10%
 

日本維新の会

6% (8%) 8% 5%
 

公明党

2% (2%) 2% 3%
 

共産党

2% (2%) 2% 2%
 

国民民主党

3% (4%) 5% 1%
 

れいわ新選組

2% (4%) 3% 1%
 

教育無償化を実現する会

0% (0%) 0% 0%
 

社民党

1% (1%) 1% 1%
 

参政党

1% (1%) 1% 1%
 

みんなでつくる党

0% (0%) 0% 0%
 

その他の政治団体

1% (1%) 1% 1%
 

支持政党はない

52% (53%) 45% 58%
問4 全国的な梅雨入りのシーズンになりました。あなたは、ご自身や家族が豪雨災害に襲われる不安を感じますか。
 

強く感じる

9%   8% 10%
 

ある程度感じる

48%   44% 53%
 

あまり感じない

36%   40% 32%
 

全く感じない

6%   8% 4%
問5 あなたは、ご自身の生活の中で災害への備えをしていますか。あなたが準備しているものを選んでください。(回答はいくつでも)
 

非常食などの防災グッズ

43%   37% 48%
 

緊急避難時に持ち出す貴重品袋

24%   21% 26%
 

近所の避難所・避難場所の確認

43%   41% 45%
 

緊急時の家族との連絡方法

28%   26% 29%
 

防災訓練への参加

9%   10% 8%
 

その他(具体的に)

1%   0% 1%
 

何もしていない

26%   30% 22%
問6 通常国会が閉会しました。あなたは、自民党の裏金事件を受けた再発防止策などの政治改革が進んだと思いますか。
 

進んだと思う

5%   6% 4%
 

進んだとは思わない

68%   68% 69%
 

後退したと思う

16%   19% 13%
 

わからない

11%   7% 15%
問7 野党の多くは企業・団体献金の禁止を主張しています。あなたは、企業・団体献金に関する議論を国会が続けるべきだと思いますか。
 

議論を続けるべきだ

64%   71% 58%
 

議論を続ける必要はない

16%   18% 15%
 

わからない

19%   10% 26%
問8 政党から議員個人に支給される「政策活動費」は使途が公開されていませんが、日本維新の会の主張で領収書が10年後に公開されることになりました。あなたは、領収書の10年後公開で政治改革が進むと思いますか。
 

進むと思う

6%   7% 5%
 

進むとは思わない

68%   67% 71%
 

後退すると思う

15%   19% 11%
 

わからない

11%   7% 12%
問9 今年の通常国会では、子ども・子育て支援関連法を改正する法律が成立しました。あなたは、子育て支援をめぐる岸田政権の取り組みを評価しますか。
 

評価する

17%   19% 16%
 

評価しない

56%   60% 54%
 

わからない

26%   21% 30%
問10 自民党の総裁選挙が9月に予定されています。あなたは、岸田首相が総裁に再選されて首相を続けた方がよいと思いますか。
 

続けた方がよい

8%   8% 9%
 

交代した方がよい

63%   71% 57%
 

どちらとも言えない

27%   20% 32%
問11 選択的夫婦別姓制度の導入を経団連が政府に要望しました。あなたは、選択的夫婦別姓制度の導入に賛成ですか、反対ですか。次のいずれかを選択し、自由にご意見をお書きください。ご意見を書きたくない方も回答の選択をお願いします。
 

賛成

47% (51%) 45% 51%
 

反対

15% (15%) 19% 12%
 

どちらとも言えない

37% (33%) 35% 38%
問12 仮に今、衆議院選挙が行われたら、あなたは比例代表でどの政党に投票しますか。
 

自民党

17% (13%) 19% 15%
 

立憲民主党

17% (14%) 20% 15%
 

日本維新の会

9% (12%) 10% 8%
 

公明党

3% (3%) 2% 4%
 

共産党

4% (3%) 3% 4%
 

国民民主党

4% (5%) 7% 2%
 

れいわ新選組

3% (4%) 4% 2%
 

教育無償化を実現する会

0% (1%) 0% 0%
 

社民党

1% (1%) 1% 1%
 

参政党

1% (1%) 1% 1%
 

みんなでつくる党

0% (0%) 0% 0%
 

その他の政治団体(具体的に)

2% (3%) 2% 1%
 

わからない

40% (41%) 30% 47%
問16 あなたが日本の首相になってほしいと思う人はいますか。以下の7人から選ぶか、「このほかの与党の政治家」か「野党の政治家」を選択して名前をご記入ください。岸田首相に続けてほしいと思う方は「岸田文雄さん」をお選びください。
 

石破茂さん

18% (17%) 22% 14%
 

小泉進次郎さん

11% (11%) 10% 12%
 

上川陽子さん

5% (8%) 4% 6%
 

高市早苗さん

5% (6%) 7% 4%
 

菅義偉さん

7% (6%) 9% 5%
 

河野太郎さん

5% (6%) 5% 6%
 

岸田文雄さん

5% (3%) 4% 5%
 

このほかの与党の政治家

3% (2%) 3% 2%
 

野党の政治家

6% (6%) 8% 5%
 

いない

35% (33%) 28% 41%
問17 次の衆議院選挙後の政権について、あなたが望ましいと思うものを選択し、自由にご意見をお書きください。ご意見を書きたくない方も回答の選択をお願いします。
 

自民党、公明党の連立政権

13%   14% 13%
 

自民党、公明党に日本維新の会を加えた政権

13%   15% 11%
 

立憲民主党を中心とする野党連立政権

21%   26% 17%
 

その他の政権

9%   12% 6%
 

わからない

44%   33% 52%

(注)小数点以下を四捨五入。0%は0.5%未満。無回答は省略。

<調査の方法>  社会調査研究センターがNTTドコモの協力を得て開発した新たなインターネット調査方式「dサーベイ」で実施した。NTTドコモのdポイントクラブ会員を対象とするアンケートサービスを利用し、全国約6800万人の母集団(18歳以上)から調査対象者を無作為に抽出。調査への協力を依頼するメールを6月22日午後5時から配信し、2043人から有効回答を得た。