調査実績

3月13日実施 全国世論調査の分析と結果

内閣支持率横ばいも、高年層では上昇。ワクチンへの期待か
- 長男問題で「首相に責任はない」が、若年層で半数超える -

 

松本 正生(社会調査研究センター代表取締役社長)

 

 社会調査研究センターでは、3月13日(土)にRDD方式による全国世論調査を実施しました。調査の方法は、携帯電話(スマートフォン)へのSMS(ショートメッセージ機能)と固定電話へのオートコールとを複合させた、新しいミックス・モード手法 = 「ノン・スポークン (Non-spoken) 調査」を採用しています。
 ノン・スポークン方式の世論調査は20年4月から開始し、今回は13 回目になります。

■内閣支持・不支持とコロナ対策評価
 今月の菅内閣支持率は、2月調査の38%からほぼ横ばいの36%となりました。不支持率は55% で、2月の51%から微増となりました。依然として不支持が支持を上回る状況が続いています。


〔表〕菅内閣支持・不支持とコロナ対策評価

 〔表〕は、菅内閣の支持率・不支持率と菅政権の新型コロナ対策に関する評価について、その推移をまとめたものです。ここのところの内閣支持率は、コロナ対策への評価とパラレルな動きをしているのがわかるでしょう。コロナ対策を「評価しない」の比率が2月の51%から57%へと上昇したことが、今月の内閣不支持率の増加に直結していると推測されます。

■内閣支持率、高年齢層に動き
 次に〔図1〕を参照してください。2月と3月の、菅内閣の年齢別支持率を比較したグラフです。ここ数ヶ月の内閣支持率については、30代~50代の実年世代で各回の振幅が大きいのに比べ、18~29歳の若年層と60代および70歳以上の中高年層には変動がみられませんでした。とりわけ、70歳以上の高齢層は、31%(20.11)→30%(21.1)→32%(21.2)と、ほとんど動きがありませんでした。ところが、今回は41%で、9ポイント増加しています。


〔図1〕菅内閣支持率(年齢別)

 2月(点線)と3月(実線)のグラフを比較すると、70歳以上を除くすべての年代で、支持率が下降ないし横ばいであるのに対して、70歳以上のみが上昇しています。その背景が気になるところです。
 2月と3月の調査では、コロナ関連で「ワクチン接種を受けられる状況になったらどうしますか」という質問を採用しました。今月の結果は、「すぐに接種を受ける」の割合が全体で49%であるのに対して、高年層、わけても80歳以上では72%(2月は43%)と際立って高い値となりました。菅政権の新型コロナ対策に対する評価も、全体平均の23%に比べ、80歳以上だけは49%となっています。ワクチンへの期待の高さが示唆されるでしょう。


■菅首相長男問題、評価分かれる
 3月調査では、いわゆる菅首相の長男問題を取り上げました。「菅首相の長男が勤める会社から接待を受けていた総務省の幹部が処分され、内閣広報官が辞職しました。菅首相に責任があると思いますか」という質問に対して、「責任がある」が43%、「責任はない」も43%と評価は真っ二つに分かれました。
 〔図2〕は、「責任がある」(実線)と「責任はない」(点線)について、比率を年齢別にプロットしたものです。双方とも、年齢による相違が顕著です。とりわけ、18~29歳、30代、40代の比較的若い年代で、「責任はない」が半数を超えていることが注目されます。この問題の受け止めをめぐっては、「責任がある」が半数を超える60代および70歳以上との間に、世代対立的な構図が存在しています。

〔図2〕菅首相の責任と夫婦別姓(年齢別)

 今回の調査では、もう1つのトピックである選択的夫婦別姓問題も質問しました。「夫婦がそれぞれ別の名字を名乗ることができる「選択的夫婦別姓」制度の導入」への賛否は、「賛成」が51%、「反対」が23%となりました。〔図2〕の二点鎖線は、このうち、「反対」回答比率の年齢別グラフです。70歳以上の40%を除けば、18~29歳から60代の間に大きな相違は見受けられません。先ほどの菅首相長男問題に関する年代差とは対照的な形状となっています。
 いずれにせよ、「(菅首相に)責任はない」回答に象徴されるように、すぐれて政局的なイシューにはあまり反応しない、言い換えるならば「関心のない」若い年代層は、菅政権にとって心強い存在であると言えるかもしれません。



  3月13日全国世論調査の結果は以下の通りです。





  


 

「毎日新聞提供」