調査実績

4月18日実施 全国世論調査の分析と結果

政府のコロナ対策への「批判疲れ」か ?
- コロナ対策評価と内閣支持率の連動関係に変化 -

松本 正生(社会調査研究センター代表取締役社長)

 
 社会調査研究センターでは、4月18日(日)にRDD方式による全国世論調査を実施しました。調査の方法は、携帯電話(スマートフォン)へのSMS(ショートメッセージ機能)と固定電話へのオートコールとを複合させた、新しいミックス・モード手法 = 「ノン・スポークン (Non-spoken) 調査」を採用しています。
 ノン・スポークン方式の世論調査は20年4月から開始し、今回は14 回目になります。

■内閣支持・不支持の膠(こう)着状況
 今月の菅内閣支持率は、3月調査の36%から微増の40%、不支持率は51% で、3月の55%からは微減となりました。昨年の12月以降、不支持が支持を上回る状況に変わりはありません。
 〔図〕は、菅内閣の支持率・不支持率について、隔月の年齢別推移をまとめたものです。全体の支持・不支持の値は、それぞれ、20.12が40%・49%、21.2が38%・51%、21.4が40%・51%で、低位安定が続いています。年齢別の構図も、18~29歳や30代の若年層で支持が不支持を若干上回るか、支持率と不支持率が拮抗し、50代以上の中高年層では常に不支持が支持を上回るという傾向が続いています。内閣支持・不支持に関する、この膠(こう)着状況を、有権者のみなさんはどのように受け止めるのでしょうか。


〔図〕菅内閣支持率・不支持率(年齢別)

■コロナ対策評価と内閣支持率の連動に変化
 ここのところの内閣支持率は、政府のコロナ対策への評価とパラレルな動きをしてきましたが、今月は両者の連動関係に変化がみられます。
 〔表1〕を参照してください。3月と4月の値を比較すると、コロナ対策を評価する比率は23%から19%へ、4ポイント低下しています。ところが、内閣支持率は、反対に4ポイント上昇しています。コロナ対策を評価しない比率と内閣不支持率の関係も同様で、逆向きの動きをしています。

 

表1〕菅内閣支持・不支持率とコロナ対策評価

 いわゆる変異種の登場にともない、新型コロナウィルスの陽性者が上昇に転じ、第4波の危機が迫る現実を前に、政府の対応は後手に回っています。菅政権のコロナ対策への評価が低落するのは、自然な流れでしょう。にもかかわらず、それが内閣支持率には直結しません。
 コロナ対策評価の質問には、「評価する」・「評価しない」以外にも、第3の選択肢として「どちらとも言えない」が存在します。「どちらとも言えない」回答は、少数派とはいえ2割前後で推移しています。この「どちらとも言えない」派の内閣支持率を確認すると、「支持」が3月の27%から、4月は69%と大幅に増加しています。「不支持」の割合も3月の58%から4月の11%へと顕著な減少を示しています。この現象は果たして何を示唆するのでしょうか。


■「コロナ疲れ」の中でのワクチン期待
 今月から、コロナウィルスに対するワクチン接種が始まりました。われわれの全国調査では、2月から「ワクチンの接種を受けられる状況になったらどうしますか」という質問を採用しています。〔表2〕は、回答の推移をまとめたものです。「すぐに接種を受ける」の比率は、2月当初は「急がずに様子を見る」を大きく下回っていましたが、月ごとに増加し、4月は62%と多数を占めました。ワクチン接種への期待を反映していると推測されます。

 

〔表2〕「ワクチンの接種を受けられる状況になったら」

 それでは、政府のコロナ対策への評価とワクチン接種への対応との関係はどうなのか。確認してみましょう。
 〔表3〕は、政府のコロナ対策を「評価する」・「評価しない」・「どちらとも言えない」ごとに、ワクチン接種への態度を比較したものです。3月から4月にかけて、「評価する」派はもちろんですが、「評価しない」派や「どちらとも言えない」派も、「すぐに受ける」の比率が大きく増加していることが明らかとなります。

 

〔表3〕コロナ対策評価とワクチン接種

 コロナウィルスの感染状況に好転の見込みが立たない中、政府の対応を批判し続けていてもあまり意味がない。いわば、無力感からくる「批判疲れ」なのでしょうか。「とりあえず、ワクチンに期待するしかない」というのが、今現在の、やり場のない気分なのかもしれません。みなさま、どうかご無事でお過ごしください。



  4月18日全国世論調査の結果は以下の通りです。


 

「毎日新聞提供」