調査実績

5月22日実施 全国世論調査の分析と結果

菅内閣 : 支持31%、不支持59%に
- 若年層と高年層で低落 -

松本 正生(社会調査研究センター代表取締役社長)

 
 社会調査研究センターでは、5月22日(土)にRDD方式による全国世論調査を実施しました。調査の方法は、携帯電話(スマートフォン)へのSMS(ショートメッセージ機能)と固定電話へのオートコールとを複合させた、新しいミックス・モード手法 = 「ノン・スポークン (Non-spoken) 調査」を採用しています。有効回答者数は、携帯695人、固定337人、計1,032人でした。
 ノン・スポークン方式の世論調査は20年4月から開始し、今回は15 回目になります。

■内閣支持、コロナ対策評価、ともに最低に
 今月の菅内閣支持率は、4月調査の40%から9ポイント低下し31%に、不支持率は4月調査の51%から8ポイント増加し59%になりました。〔表1〕に明らかなように、支持率31%は菅内閣における最低、不支持率59%は逆に最高の値に相当します。
 菅政権の新型コロナウィルス対策にかんする評価も、「評価する」が最低の13%に、「評価しない」は69%で7割に迫る比率となりました。〔表1〕を参照してください。コロナウィルス感染者数の増加が全国に広がる一方、ワクチンの接種が期待したほどには進んでいないという現状に対する、社会の不安・不満の反映と言えるでしょう。


〔表1〕菅内閣支持・不支持率とコロナ対策評価

■内閣支持率 : 18~29歳、30代と60代、70歳以上で大きく減少
 〔表2〕は、年齢別の菅内閣支持率の推移をまとめたものです。4月から5月への変化に注目すると、18~29歳と30代の若年層と60代と70歳以上の高年層において、支持率が大きく減少しています。わけても、これまで一貫してほとんど動きのなかった18~29歳の若年層が、マイナス13ポイントと顕著な低下を示していることが注目されます。また、3月ないし4月にワクチン接種への期待から支持率の上昇した60代や70歳以上の高年層も、マイナス16ポイント(60代)、マイナス14ポイント(70歳以上)と大きな減少を示しています。

〔表2〕菅内閣支持率の推移(年齢別)

 政府による緊急事態宣言は、調査実施時の5月22日(土)現在、9都道府県に発令されていました。今回の調査では、緊急事態宣言についてどう思うかを聞きました。全体の回答結果は、「全国に発令して感染を抑え込むべきだ(全国に発令すべき)」が59%と多数を占め、「妥当だ」の20%、「早く解除して経済を回すべきだ(早く解除すべき)」の12%の順となりました。〔図1〕は、このうち、「全国に発令すべき」と「早く解除すべき」の比率を年齢別にプロットしています。「全国に発令すべき」は、とくに中高年層で高い割合を占めていること、他方、「早く解除すべき」は全体でこそ少ないものの、18~29歳の若年層では28%と相応の比率を占めていることがわかります。

〔図1〕緊急事態宣言について〔21.5〕

 政府のコロナ対策への否定的な評価という文脈は同じとはいえ、高年層の「もっと抑制の強化を」と、若年層の「抑制よりも経済活動を優先して」とでは、志向のベクトルが逆向きになっています。

 

■内閣支持・不支持構造の推移
 さて、ここで菅内閣支持と不支持の付置関係を、年齢別にみてみましょう。〔図2〕(20.12→21.2→21.4)に明らかなように、ここのところの年齢別の構造は、中高年層では不支持>支持、若年層では支持>不支持ないし支持≒不支持という、対照的な関係が続いていました。

〔図2〕菅内閣支持率・不支持率(年齢別)

 しかしながら、今回の5月調査では、若年層を含めすべての年代で不支持が支持を大きく上回る構図にシフトしました。ただ、大きく低下したとはいえ、支持率に関する右肩下がりの「若高-老低」型構造は継続しています。〔図3〕を参照してください。

〔図3〕菅内閣支持率・不支持率(年齢別)〔21.5〕

 今月の調査では、9月末に自民党総裁としての任期を迎える菅首相について、「菅さんにいつまで首相を続けてもらいたいか」と聞く質問を採用しました。結果は、「自民党総裁の任期(9月末)いっぱい続けてもらいたい」が47%、「早く辞めてもらいたい(早く辞めて)」が40%、「できるだけ長く続けてもらいたい(長く続けて)」が13%となりました。
 〔図4〕は、このうち「長く続けて」と「早く辞めて」について、年齢別の比率をプロットしたものです。全体で40%を占めた「早く辞めて」にかんしては、極端な「若低-老高」型の形状が確認できます。比率の絶対値も18~29歳の25%と70歳以上の50%とでは2倍の開きが存在しています。これに対して、「長く続けて」については、全体でこそ13%にとどまるものの、18~29歳では21%を占めており、年齢別の構造も「若高-老低」型を示しています。

〔図4〕菅首相にいつまで続けてもらいたいか〔21.5〕



5月22日全国世論調査の結果は以下の通りです。

 




 
 

 

「毎日新聞提供」