11月13日実施 全国世論調査の分析と結果
社会調査研究センターは、第49回総選挙後の第二次岸田文雄内閣の発足をうけて、11月13日(土)、RDD方式による全国世論調査を実施しました。調査の方法は、携帯電話(スマートフォン)へのSMS(ショートメッセージ) + Web(インターネット)、および、固定電話へのIVR(オートコール)を複合した、新しいミックス・モード手法 = 「ノン・スポークン (Non-spoken) 調査」を採用しています。有効回答者数は、携帯747人、固定325人、計1,072人でした。
■ 内閣支持・不支持の構図に変化
10月31日(日)に投開票が行われた第49回衆院総選挙は、自民党が261の絶対安定多数を獲得し、公明党と合わせて与党が293議席を占めました。対する野党は、立憲民主党が公示前の110から96に議席を減らし、「野党共闘」5党の合計も121にとどまりました。一方、公示前は11だった日本維新の会が大幅増の41議席を獲得し、第三党に躍進しました。総選挙後の11月10日(水)には、第二次岸田文雄内閣がスタートしました。
岸田内閣の支持率は48%(前回10月は49%)、不支持率は43%(同40%)でした。総選挙での圧勝直後にもかかわらず、支持率は横ばいとなりました。
〔図1〕は、「支持」、「不支持」それぞれの比率を年齢別にプロットしています。左が、新政権発足時の10月、右が今回です。付置関係の構図に変化がみられます。10月の構図は、18~29歳の最若年層をはじめ50代の中年層までは支持が不支持を上回り、60代以上の高年層では支持と不支持が逆転ないし拮抗するという、いわば「若高-老低」型でした。今回(11月)は、18~29歳・30代の若年層と60代・70歳以上の高年層が支持>不支持、40代・50代の中年層は逆に支持<不支持と、やや複雑な構図にシフトしています。「若高・老高-中低」型と形容できるかもしれません。 内閣支持率における年層差といえば、菅前内閣の20年12月~21年4月ごろまでみられた40、50代を境目とする、若年層は支持>不支持、中高年層は支持<不支持という右肩下がりの一方向的な「若高-老低」型が一般的なパタンでした。今回はこれまでとは異なる新しいパタンに他なりません。
〔図1〕内閣支持・不支持の構図(年齢別)
■ 維新は「改革勢力」か「与党の保管勢力」か?
次に〔表1〕をご覧ください。内閣支持率と主要政党の支持率の推移を示しています。8月の調査で26%に低落した自民党の支持率は、菅前首相の退陣表明後の9月には 11ポイント増の37%になりました。10月には岸田新政権が誕生し、内閣支持率が12ポイント上昇したものの、自民党支持率が連動することはありませんでした。そして、今回、内閣支持率と同様、総選挙で圧勝した自民党の支持率に変化はありません。加えて、敗北した立憲民主党の支持率にも変わりはありません。すべて横ばいです。
〔表1〕内閣支持率と主要政党支持率の推移
支持率が上昇したのは、日本維新の会だけです。8%(10月)から16%(11月)に倍増しています。維新については、今回の調査で党のイメージに関する質問をしています。「あなたが日本維新の会に持っているイメージはどちらに近いですか」と問いかけ、「改革政党」か「与党の補完勢力」かのいずれかを選択してもらいました。全体の比率は、「改革勢力」=47%、「与党の補完勢力」=32%、「わからない」=21%でした。〔表2〕は、維新のイメージと支持率を年齢別に集計した結果です。維新に対する改革イメージは、30代の60%を筆頭に、40代~60代の実年世代で比較的高い値となっています。支持率についても、改革イメージの高い30,40代が高く、とりわけ30代は前月比3倍増の21%になりました。ただ、維新の支持率は、「与党の補完勢力」だとする比率が4割以上を占める70以上においても、倍増しています。この傾向がいつまで継続するのか。今後の推移を注視したいと思います。
〔表2〕日本維新の会のイメージと支持率(年齢別)
■ 女性議員を増やす取り組みは必要か ?
11月調査で採用した質問中、年層差に関する意外な結果がみられたのが、女性議員質問でした。今回の総選挙で当選した女性は前回を下回る45人で、全体の1割に届きませんでした。そこで、「女性議員を増やすための取り組みが必要だと思いますか」とたずねました。全体の結果は、「必要だと思う」が56%と多数を占め、「必要とは思わない」が33%、「わからない」が11%でした。
この結果を年齢別にプロットしたのが、〔図2〕です。18~29歳および30代の値をご覧ください。「必要だと思う」と「必要とは思わない」が拮抗しています。しかも、30代は、「必要とは思わない」が「必要だと思う」を逆転しています。若年層におけるこの傾向をどう解釈したらよいのでしょうか。みなさんは、どのように思われますか。
〔図2〕女性議員を増やすための取り組み(年齢別)