調査実績

12月18日実施 全国世論調査の分析と結果


 
内閣支持 : 旧来の年功パタンに回帰か ?
- 維新支持、30代~60代で自民と拮抗 -              
松本 正生(社会調査研究センター代表取締役社長)
 

 社会調査研究センターは、12月18日(土)、RDD方式による全国世論調査を実施しました。調査の方法は、携帯電話(スマートフォン)へのSMS(ショートメッセージ) + Web(インターネット)、および、固定電話へのIVR(オートコール)を複合した、新しいミックス・モード手法 = 「ノン・スポークン (Non-spoken) 調査」を採用しています。有効回答者数は、携帯721人、固定302人、計1,023人でした。  

 

■ 内閣支持の構図 : かつての年功パタンに回帰するのか ?
 今月(12月)の岸田内閣の支持率は54%で、11月の48%から6ポイント上昇しました。不支持率は、11月の43%から7ポイント減少の36%でした。前回(11月)は、総選挙での圧勝直後にもかかわらず支持率は横ばい(10月は49%)でしたが、2か月後の今回、岸田内閣として初の5割超えとなりました。
 〔図1〕は、「支持」、「不支持」それぞれの比率を年齢別にプロットしています。新政権発足時の10月の構図は、18~29歳の最若年層をはじめ50代の中年層まで支持が不支持を上回り、60代以上の高年層では支持と不支持が逆転ないし拮抗していました。支持構造としては、安倍、菅政権でみられた「若高-老低」型で、前任の内閣を引き継いでいます。 前回の11月は、年齢間の支持率にそれほど顕著な相違は存在しないものの、18~29歳・30代の若年層と60代・70歳以上の高年層が支持>不支持、40代・50代の中年層は逆に支持<不支持と、やや複雑な構図にシフトしました。

〔図1〕内閣支持・不支持の構図(年齢別)

 そして今月(12月)ですが、支持率は70歳以上の高年層で最も高く、不支持率は70歳以上が最も低いという、10月とは対象的な形状に変化しました。70歳以上の内閣支持率は、46%(10月)→52%(11月)→61%(12月)と明確な上昇傾向にあります。一方、18~29歳の最若年層では、62%(10月)→51%(11月)→49%(12月)という減少傾向がみられます。総選挙をはさんだこの2か月間で、支持構造が「若高-老低」型から「若低-老高」型へとシフトしつつあるようにも思われます。
 「若低-老高」型の支持構造といえば、安倍政権以前の、さらにさかのぼれば自民党の長期政権時代における内閣・自民党支持の典型的なパタンに他なりません。かつての安定的構造に回帰しつつあるのか。今しばらく、推移を観察する必要がありそうです。

 

■ 内閣支持率(6ポイント増)と自民党支持率(5ポイント減)が逆相関の関係に
 次に〔表1〕をご覧ください。内閣支持率と主要政党の支持率の推移を示しています。10月の岸田新政権の登場で内閣支持率が12ポイント上昇した時には、自民党支持率が連動することはありませんでした。今回もまた、自民党支持率は内閣支持率と連動しませんでした。それどころか、内閣支持率が6ポイント上昇したにもかかわらず、自民党支持率は逆に5ポイント低下しました。内閣支持率と自民党支持率とが逆相関、すなわち逆の動きをするという現象は、あまり記憶にありません。
 政党支持率に関して、11月と12月を比較すると、内閣支持と連動しているのは、自民ではなく日本維新の会で、上昇度も全く同じ6ポイントです。逆にみれば、維新の上昇分(6ポイント)は、自民の減少分(5ポイント)に相当します。自民支持から維新支持へのシフトが生じたのでしょうか。いずれにせよ、8%(10月)→16%(11月)→22%(12月)と、直近2ヶ月の維新支持率の動きは括目に値します。

〔表1〕内閣支持率と主要政党支持率の推移


 

■ 維新支持の構図 : 年齢、地域、ともに満遍なく
 日本維新の会について、さらに、支持の構造を確認してみましょう。〔表2〕に、年齢別の維新支持率の推移をまとめました。総選挙前の10月から、直後の11月、そして12月と、18~29歳の最若年層を除くすべての年齢で、顕著な比率の上昇が続いています。30代から70歳以上まで、数値自体にも大きな相違は見受けられず、満遍なく支持を得ていることがわかります。年齢だけでなく、地域に関しても、比例のブロックごとの支持率を比較すると、近畿ブロックの値が最も高いのはもちろんですが、他のすべてのブロックにおいても2割前後という均質な支持を得ています。

〔表2〕日本維新の会支持率(年齢別)


 最後に、自民、立民、維新の3政党の支持構造を比較した〔図2〕を参照してください。11月には離れていた自民と維新の支持率ですが、12月にはかなり接近したことがわかります。わけても、30代から60代までの実年層において、支持率が拮抗していることが注目されます。互いに重なり合う自民党と日本維新の会の支持者たち、そして、その合計が有権者の約5割を占めるというこの状況は、日本政治の今後の展開にどのようなインパクトをもたらすのでしょうか。 

〔図2〕政党支持率(年齢別)

 

12月18日全国世論調査の結果は以下の通りです。






「毎日新聞提供」