2月19日実施 全国世論調査の分析と結果
社会調査研究センターは、2022年2月19日(土)、RDD方式による全国世論調査を実施しました。調査の方法は、携帯電話(スマートフォン)へのSMS(ショートメッセージ) + Web(インターネット)、および、固定電話へのIVR(オートコール)を複合した、新しいミックス・モード手法 = 「ノン・スポークン (Non-spoken) 調査」を採用しています。有効回答者数は、携帯734人、固定316人、計1,050人でした。
■内閣支持率 : 最低の45%に
今月の岸田内閣支持率は、前回1月の52%から7ポイント減の45%、不支持率は1月の36%から10ポイント増の46%で、支持と不支持が拮抗しました。支持率の45%は、岸田内閣の発足以来、最低の値となりました。
1月と2月の支持率・不支持率を年齢別にプロットした〔図〕を参照してください。1月には、すべての年齢で支持が不支持を大きく上回っていました。支持、不支持ともに、70歳以上を除く18~29歳から60代まで、フラットな形状を示しています。今回は、支持率がフラットな形状を維持したまま、各年代でほぼ均等に低下し、逆に、不支持率もフラットな形状のまま上昇したため、支持と不支持のグラフが重なり合う構図になりました。
〔図〕内閣支持率〔年齢別〕
■内閣支持とコロナ対策評価 : 再び連動関係に
〔表1〕は、岸田内閣の支持・不支持と、政府のコロナ対策への評価について、その推移をまとめたものです。前回は、オミクロン株によるコロナウィルスへの感染が急拡大し、調査を実施した1月22日における1日の感染者数は全国で5万4,582人を数え、東京都だけでも1万人を超えるという、まさに「感染爆発」とも言うべき状況でした。コロナ対策に関しても、「評価する」が15ポイント減少し、「評価しない」も13ポイント増加し、両者の大小関係が逆転しました。それにもかかわらず、内閣支持率に変動は見られませんでした。
今月は、「評価する」が4ポイント減の27%、「評価しない」は12ポイント増の51%で、「評価しない」と「評価する」の差がさらに拡大しました。内閣支持率も7ポイント減、不支持率も10ポイント増と、コロナ対策評価と内閣支持・不支持が連動する以前の関係に再び戻った観があります。やはり、「評価しない」の比率が過半数を越えたことは、留意すべきだと思います。
〔表1〕岸田内閣支持・不支持とコロナ対策評価
■コロナ対策評価 : 全年齢で「評価しない」が上昇
ここで、「評価する」と「評価しない」の関係を、さらに詳しくみてみましょう。〔表2〕を参照してください。岸田内閣のコロナ対策について、「評価する」の比率から「評価しない」の比率を差し引いた数値を、年齢別に算出したものです。すでに、前回の1月時点で、全年齢でマイナス、すなわち、「評価しない」>「評価する」という傾向が存在していました。今回は、すべての年齢に関して、マイナスの値がさらに上昇しました。とりわけ、18~29歳の若年層と、40代、50代の実年層において、マイナスの上昇度、および値が高くなっています。
〔表2〕「コロナ対策評価」の推移 (22.1→2)
■規制措置 : 「緩和すべき」が「強化すべき」を上回る
コロナ対策評価と内閣支持・不支持とのクロス集計結果は、〔表3〕に示しました。コロナ対策への評価が、内閣への支持・不支持に直結していることが読み取れます。
今月の調査では、コロナ対策に関連して、「まん延防止などの規制措置を、さらに強化すべきか、それとも緩和すべきか」を問いました。全体の結果は、「強化すべき」が28%、「緩和すべき」が40%、「現状のままでよい」が26%で、「緩和すべき」が「強化すべき」を上回り、相対的多数を占めました。規制疲れ、さらには、国外からの「鎖国政策」批判などが影響しているのでしょうか。
再び、〔表3〕を参照してください。規制措置への評価と内閣支持・不支持とのクロス結果をまとめています。「緩和すべき」派のみならず、「強化すべき」派も、「支持しない」が「支持する」を上回っています。規制措置を強化すれば「緩和派」から、緩和すれば「強化派」からと、どちらを選択しても批判を受けることは避けられないでしょう。
〔表3〕「コロナ対策・規制措置」×「内閣支持」(22.2)
ワクチン接種の体制強化以外に新たな対応策が提示されることもなく、現状のままの対症療法的な対応、いわば、もぐらたたき的な対応を続けて、ひたすらオミクロン感染のピークが過ぎるのを待つことになるのでしょうか。