調査実績

4地方選挙でd-SURVEY実施

沖縄・宮崎・山梨県知事選、北九州市長選で示した精度の高さ

■配信設計モデルで進化するdサーベイ


 社会調査研究センター(SSRC)は、2022年7月10日投票の参院選でdサーベイに導入した「配信設計モデル」をさらに進化させ、その後の沖縄県知事選(9月11日投票)、宮崎県知事選(12月25日投票)、山梨県知事選(2023年1月22日投票)、北九州市長選(2月5日投票)などで調査の実績を重ねてきた。
 dサーベイは、NTTドコモのdポイントクラブ会員を対象としたアンケートサービス「プレミアパネル」を使用するインターネット調査だ。配信設計モデルとは、性・年代別の回答サンプル分布が投票者における分布に近づくよう、調査対象者に送るメールの配信数を設計するものである。事前に決めた属性ごとのサンプル数を回収する割り当て法とは異なる。有権者2人に1人以上の全国約6000万人を母集団としたランダムサンプリング(無作為抽出)調査が可能なdサーベイの利点を最大限に生かしつつ、スマートフォンへの対応が遅れ気味の高齢層(特に女性)への配信数を増やすことによりサンプルの偏りを減らす狙いがある。
 性・年代別のスマホ順応度は地域によって微妙に異なり、総じて九州南部や四国では女性高齢層の回答率が他地域より低くなる傾向がある。dサーベイに回答しない方々も選挙の投票に行く。将来的にスマホの普及がさらに進んで真に「1億総スマホ時代」と呼べる状況が到来するまでの過渡的な措置として、地域ごとの実情に合わせた配信設計を行わなければ、スマホへの順応が遅れた層の声が調査結果に反映されにくくなる。配信設計をせず集計時に補正する手もあるが、少ないサンプルに潜む歪みを増幅させてしまう懸念は拭えない。SSRCはdサーベイの調査実績を重ねる中で地域ごとの特性を把握し、配信設計モデルを進化させている。


■期日前投票も集計・分析できる「投票行動調査」
 dサーベイでは、投票日の前に選挙情勢を探る「情勢調査」のほか、投票を済ませた有権者に誰に投票したかを尋ねる「投票行動調査」を実施している。従来は電話で情勢調査を行い、投票当日は投票所に調査員を配して「出口調査」を実施するのが常套手段だった。dサーベイの投票行動調査は比較的安価なインターネット調査でありながら出口調査に匹敵するデータが得られるうえに、期日前投票をしたサンプルも取得・分析できる。dサーベイは情勢調査と投票行動調査を同じ方式で行うため、選挙情勢の変化を統計的に分析することも可能だ。
 接戦が予想された沖縄、宮崎の両県知事選と北九州市長選では投票日前の情勢調査3回と投票当日の投票行動調査、事前に現職の優勢が見込まれた山梨県知事選では情勢調査1回と投票行動調査を実施し、いずれも選挙情勢を的確に追うことができた。4選挙の開票結果と投票行動調査の集計結果を表にまとめた。特に沖縄、宮崎、北九州は当落予測の難しい接戦だったが、配信設計モデルによって進化したdサーベイの精度の高さが示された。今年4月の統一地方選と衆院4補選でも良質な調査を提供していきたい。

 
文責 平田崇浩(社会調査研究センター)