10月4-5日実施 全国緊急世論調査の分析と結果
岸田新内閣 : 支持 49%、不支持 40%
- 様子見の有権者、総選挙(10.31)でどう動く? -
松本 正生(社会調査研究センター代表取締役社長)
社会調査研究センターは、岸田文雄新内閣の発足をうけて、10月4日(月)~5日(火)、RDD方式による緊急全国世論調査を実施しました。調査の方法は、携帯電話(スマートフォン)へのSMS(ショートメッセージ) + Web(インターネット)、および、固定電話へのIVR(オートコール)を複合した、新しいミックス・モード手法 = 「ノン・スポークン (Non-spoken) 調査」を採用しています。有効回答者数は、携帯725人、固定310人、計1,035人でした。
■ 岸田新内閣の顔ぶれへの期待感 : 「持てる」21%、「持てない」51%
10月4日(月)、岸田文雄氏が第100代の内閣総理大臣に就任し、新しい政権がスタートしました。新内閣の支持率は49%、不支持率は40%でした。支持率は、菅前内閣の直近9月の37%から12ポイント上昇したものの、同内閣発足時の64%を大きく下回りました。
〔表1〕は、「支持」、「不支持」それぞれの理由を示しています。「不支持」の理由が「政治が変わりそうにない」の58%にほぼ集中しているのに対して、「支持」理由は、「首相の人柄に好感が持てる」=27%、「政策に期待が持てそう」=25%をはじめ、「自民、公明の連立政権だから」=18%、「政治が変わりそうだから」=14%などに分散し、表中にはありませんが「その他」も16%にのぼりました。
「岸田内閣の閣僚の顔ぶれに期待感が持てるか」に対する回答結果は、「持てる」が21%、「持てない」が51%、「わからない」が28%でした。内閣支持・不支持とのクロスをみると、「支持しない」と回答した人たちについては、「持てる」が0%、「持てない」が89%と極端な傾向が存在します。他方、「支持する」人たちに関しては、「持てる」が41%、「持てない」が22%、「わからない」も37%と評価が分かれました。「支持する」とは答えたものの、ちょっと様子見という姿勢がうかがわれます。
〔表1〕岸田新内閣の支持・不支持理由
■ 内閣支持・不支持の付置関係
〔図1〕をご覧ください。菅前内閣の支持率は、新型コロナウィルスの感染拡大にともない、20年の12月に支持率と不支持率が逆転しました。それ以降、21年4月までの間は、若年層は支持>不支持、中高年層は不支持>支持というクロス構造が続き、5月からはすべての年代で不支持が支持を上回るようになりました。不支持率と支持率の差は、6月、7月と徐々に拡大し、退陣表明直前の8月には、支持率が最低の26%を記録しました。〔図1〕中の左図が8月の付置関係を示したものです。
一方、右図が岸田新内閣の支持・不支持の構造です。菅前内閣(8月)とは対照的に、ほとんどの年代において支持率が不支持率を上回ってはいるものの、18~29歳の最若年層を除き、比率自体は接近しています。しかも、60代では不支持が支持を逆転しています。
〔図1〕内閣支持・不支持の構図(年齢別)
次に、〔図2〕で菅内閣と岸田内閣の発足時の支持構造を比較してみましょう。64%という高支持率でスタートした菅前内閣は、若・中年層を中心に各年代から高い評価を得ていたことが確認できます。岸田新内閣は、支持の構造こそ「若高-老低」型の特徴がみられますが、支持率自体は各年代共通に菅前内閣を下回っています。
〔図2〕新内閣の支持構造比較(年齢別)
■ 総選挙の投票予定 : 自民、立憲民主、ともにほとんど変化せず
岸田首相は、衆議院を10月14日に解散し、総選挙を19日公示31日投開票の日程で実施することを表明しました。いよいよ、4年ぶりの総選挙が挙行されます。
〔表2〕は、主要政党の支持率を示しています。8月の調査で26%に低落した自民党の支持率は、菅前首相の退陣表明後の9月には 11ポイント上昇し37%となりました。菅首相退陣、自民党総裁選の相乗効果を読み取ることかできました。ところが、今回10月の調査では、岸田新政権が誕生し、内閣支持率も12ポイント上昇したにもかかわらず、自民党支持率が連動することはありませんでした。わずかながら減少すらしています。むしろ、立憲民主党の支持率の方が上昇しています。総裁選の様相や新内閣発足の経緯がプラスには機能しなかなかったと言えるでしょう。
〔表2〕内閣支持率と主要政党支持率の推移
それでは、「次の衆院選の比例代表では、どの政党に投票したいか」質問の結果はどうでしょうか。自民党は、支持率と同じく(対前月)1ポイント減の34%に、立憲民主党は2ポイント増の16%でした。両党の比率を年齢別にプロットした〔図3〕の三つの図を比較してください。18~29歳で自民党が大きく上昇しているのを除けば、9月の構図に大きな変化はありませんでした。30代~50代の実年世代に関しては、かえって両党の差が縮んでいます。
新内閣の発足による引き上げ効果で自民党支持率が再上昇し、自民-立憲民主間の差がさらに拡大することが予想された今回の調査でしたが、政党支持にはほとんど影響はありませんでした。31日の投票日まで、あと3週間、有権者諸兄は、この先どう判断されるのでしょうか。
〔図3〕衆院選(比例代表)での投票予定政党
〔図2〕新内閣の支持構造比較(年齢別)
■ 総選挙の投票予定 : 自民、立憲民主、ともにほとんど変化せず
岸田首相は、衆議院を10月14日に解散し、総選挙を19日公示31日投開票の日程で実施することを表明しました。いよいよ、4年ぶりの総選挙が挙行されます。
〔表2〕は、主要政党の支持率を示しています。8月の調査で26%に低落した自民党の支持率は、菅前首相の退陣表明後の9月には 11ポイント上昇し37%となりました。菅首相退陣、自民党総裁選の相乗効果を読み取ることかできました。ところが、今回10月の調査では、岸田新政権が誕生し、内閣支持率も12ポイント上昇したにもかかわらず、自民党支持率が連動することはありませんでした。わずかながら減少すらしています。むしろ、立憲民主党の支持率の方が上昇しています。総裁選の様相や新内閣発足の経緯がプラスには機能しなかなかったと言えるでしょう。
〔表2〕内閣支持率と主要政党支持率の推移
それでは、「次の衆院選の比例代表では、どの政党に投票したいか」質問の結果はどうでしょうか。自民党は、支持率と同じく(対前月)1ポイント減の34%に、立憲民主党は2ポイント増の16%でした。両党の比率を年齢別にプロットした〔図3〕の三つの図を比較してください。18~29歳で自民党が大きく上昇しているのを除けば、9月の構図に大きな変化はありませんでした。30代~50代の実年世代に関しては、かえって両党の差が縮んでいます。
新内閣の発足による引き上げ効果で自民党支持率が再上昇し、自民-立憲民主間の差がさらに拡大することが予想された今回の調査でしたが、政党支持にはほとんど影響はありませんでした。31日の投票日まで、あと3週間、有権者諸兄は、この先どう判断されるのでしょうか。
〔図3〕衆院選(比例代表)での投票予定政党
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10月4-5日全国緊急世論調査の結果は以下の通りです。
「毎日新聞提供」