2021年8月28日実施 全国世論調査の分析と結果
2021.8.31
8月28日実施 全国世論調査の分析と結果
菅内閣支持率、自民党支持率と並ぶ26%に
- 「不支持」と「支持」の差も、40ポイントに拡大 -
松本 正生(社会調査研究センター代表取締役社長)
社会調査研究センターは、8月28日(土)にRDD方式による定例全国世論調査を実施しました。調査の方法は、携帯電話(スマートフォン)へのSMS(ショートメッセージ) + Web(インターネット)、および、固定電話へのIVR(オートコール)を複合した、新しいミックス・モード手法 = 「ノン・スポークン (Non-spoken) 調査」を採用しています。有効回答者数は、携帯774人、固定335人、計1,109人でした。
■菅内閣支持率、最低の26%、不支持率は66%
今月の菅内閣支持率は、前回(7月)から4ポイント低下し26%に、不支持率も4ポイント上昇し66%となりました。〔表1〕に明らかなように、支持率26%は、昨年9月の菅内閣発足以来の最低値、逆に、不支持率66%は最高値に相当します。
昨年の12月に、不支持率が支持率を上回って以降、今年の6月までの約半年間は、その差が最大でも20ポイント程度にとどまっていました。ところが、7月には30ポイントに広がり、今月は40ポイントとさらに拡大しました。
菅政権の新型コロナウィルス対策への評価も、「評価する」が最低の14%、「評価しない」が最高の70%と、内閣支持率・不支持率と完全に連動しています。
〔表1〕菅内閣支持・不支持率とコロナ対策評価
■東京オリンピックの評価に年齢差
さて、現下の社会的イシューである「コロナとオリンピック」について、結果を確認してみましょう。[表2]は、コロナ対策と東京オリンピックに関する設問への回答を年齢別にまとめたものです。
先ず、コロナ対策(表中左の2問)については、すべての年代に共通した受け止め方が見受けられます。すなわち、「菅政権のコロナ対策」を「評価しない」、および「日本の医療崩壊」が「不安だ」というネガティブな意見・意識は、どちらとも、各年代でほぼ7割という圧倒的多数を占めています。
これに対して、東京オリンピックの受け止め方(表中右の2問)には、年齢差が存在します。とりわけ、「日本でまたオリンピックを開催してほしいと思うか」に関して、「開催してほしい」が18~29歳と30代の若年層で多数を占め、「開催してほしくない」の比率は年齢の上昇とともに増加し、70歳以上の高年層では多数を占めるという対照的な関係が存在します。この付置関係は、単に、自分に残された生涯年齢を反映しているだけなのでしょうか。
〔表2〕コロナ対策・東京オリンピック(年齢別)
■内閣支持率の「牽引(けんいん)効果」が消失
衆院総選挙が近づいてきました。ここからは、政党支持率を取り上げます。〔表3〕は、菅政権が発足した20年9月以降の、主要政党の支持率を示しています。自民党の支持率は、昨年9月の44%から徐々に低下し、今月は奇しくも内閣支持率と同率の26%となりました。内閣支持率および自民党支持率の推移を比較すると、当初は20ポイント程度あった差が、内閣支持率の急落によって減少し、ついにゼロになってしまいました。高い内閣支持率が自民党支持率を牽引し、国政選挙における有権者の投票行動の動機づけ要因となるという勝利の公式が、衆院選までに復活することはあるのでしようか。
ただ、内閣支持率や自民党支持率の低落の一方で、その受け皿となるべき野党、わけても第一野党の立憲民主党支持率に上昇はみられません。自民党支持率とトレードオフの関係にあるのは、「支持政党なし」の無党派層比率です。
〔表3〕内閣支持率と主要政党支持率の推移
■衆院選の投票予定政党、60代以上で自民と立憲民主が拮抗
今月の調査では、支持政党質問に加えて、「次の総選挙の比例代表で、どの政党に投票したいか」を問いました。自民党と立憲民主党の比率は、24% vs 14%と支持政党質問の結果にくらべて縮まりました。
〔図2〕を参照してください。両党の比率を年齢別にプロットしています。18~29歳や30代の若年層でこそ自民党が大きくリードしているものの、60代以上の高年層では、両党の比率が非常に拮抗しています。人口構成の超高齢化と、選挙での投票実績という二つの変数を考慮に入れると、60代以上が投票者全体に占める割合は、半数、ないしそれ以上と推定されます。選挙の帰趨は、高年層の動向に大きく左右されるのです。
9月には自民党の総裁選が実施される予定です。「衆院選の投票予定投票」に関する、次回の調査結果が注目されます。
〔図2〕衆院選(比例代表)での投票予定政党
8月28日全国世論調査の結果は以下の通りです。
「毎日新聞提供」
2021年08月31日 09:00