2020年8月22日実施 全国世論調査の分析と結果
2020.08.24
8月22日実施 全国世論調査の分析と結果
安倍政権のコロナ対応評価で、有権者の意識に亀裂
内閣支持層は「評価する」54% vs 不支持層は「評価しない」92%
松本 正生(社会調査研究センター代表取締役社長)
社会調査研究センターでは、20年8月22日(土)に、RDD方式による全国世論調査を実施しました。調査の方法は、携帯電話(スマートフォン)を対象とするショートメールと固定電話を対象とするオートコールとを複合させた、新しいミックス・モード手法 = 「ノン・スポークン (Non-spoken) 方式」を採用しています (調査方法については、「社会調査研究センターの『新ミックス・モード調査』」https://ssrc.jp を参照してください) 。
ノン・スポークン調査による全国世論調査は4月から開始し、すでに6回実施しました。このリポートでは、定例の内閣・政党支持や、トピック質問の結果を中心に、有権者の政治意識を探索します。
■「若高-老低」型の内閣支持構造が定着
〔表1〕は、6回の調査における、安倍内閣の支持率および主要政党の支持率を示しています。5月下旬に27%に低落した内閣支持率は、6月にやや回復して以降、7月、8月と3割台で推移し、低位とはいえ、横ばいの安定傾向が続いています。
政党支持率についても、直近3ヶ月は、自民党をはじめとして、国民民主党との合流が話題になっている立憲民主党にも変化はなく、いわば膠着状況が続いています。こうした中で、日本維新の会は、5月に支持率が急増してから二桁を維持し続けています。
〔表1〕内閣支持率と政党支持率の推移
〔図1〕は、直近3回の安倍内閣支持率の推移を年齢別にまとめたものです。6月、7月、8月と、若年層から中高年層にかけて右肩下がりの逆年功型=逆J字型の支持構造に大きな変化はありません。「若高-老低」型は、内閣支持率の低位安定を支える基底構造と言えるでしょう。
〔図1〕安倍内閣支持率(年齢別)
■コロナ対応への評価が内閣支持・不支持を弁別する
さて、安倍内閣を「支持する」か「支持しない」かを弁別する指標は何なのでしょうか。調査で採用している質問の回答結果の中で、内閣支持・不支持との相関の度合いが最も高いのは、安倍政権のコロナ対応評価(「新型コロナウィルスの問題で安倍政権の対応を評価するか」)に他なりません。〔表2〕を参照してください。内閣不支持層のカラムをみると、政権のコロナ対応を「評価しない」とする比率が9割と極めて高いことがわかります。他方、内閣支持層では「評価する」比率が半数を超え、「評価しない」の比率は1割台にとどまっています。安倍内閣の支持層と不支持層の間には、コロナ対応への評価に関して、相互理解不能とも言うべき顕著な相違が見受けられます。コロナ感染者の全国的な増加という現実を前に、(時の政権の対応に関する)国民の認識に亀裂が存在するのだとしたら、この状況をどう受け止めたらいいのでしょうか。
〔表2〕内閣支持・不支持×「安倍政権のコロナ対応を評価するか」
■危機意識の低下か、「不安・不備生活」を受忍か ?
さらに、コロナ関連質問の回答結果を確認してみましょう。〔表3〕は、内閣支持・不支持と「新型コロナウィルスへの対応について、感染防止と経済活動のどちらを優先すべきか」の回答とのクロス集計結果をまとめたものです。7月と8月を比較すると、全体、「支持する」、「支持しない」、いずれについても感染防止優先の比率が減少しています。とりわけ、支持層の今回(8月)の結果をみると、経済活動優先の比率が増加し、感染防止優先と拮抗するようになりました。
〔表3〕内閣支持・不支持×「感染防止と経済活動のどちらを優先すべきか」
次いで、〔表4〕をご覧ください。内閣支持・不支持と「新型コロナウィルスに対する日本の医療・検査体制に不安を感じるか」とのクロス集計結果を示しています。「支持する」層の6月と8月をみると、「不安を感じない」とする比率が4割を上回り、相対多数を占めるようになりました。全体平均でも、緊急事態宣言下の5月と比較すると、「不安を感じない」が増加(「感じる」がやや減少)しています。
〔表4〕内閣支持・不支持×「コロナウイルスに対する医療・検査体制に不安を感じるか」
これらの傾向は、国民のコロナ感染に対する危機意識や緊張感が低減しつつあることのあらわれかもしれません。と同時に、感染への不安や対応体制の不備を前提とした日常を受け入れるしかないという意識が、徐々に広がりつつあることを示唆しているようにも思われます。
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8月22日全国世論調査の結果は以下の通りです。
「毎日新聞提供」
2020年08月24日 09:00