2022年6月18日実施 全国世論調査の分析と結果
2022.6.20
6月18日実施 全国世論調査の分析と結果
(22.6.18 全国世論調査)
松本 正生(社会調査研究センター代表取締役社長)
社会調査研究センターは、2022年6月18日(土)、RDD方式による全国世論調査を実施しました。調査の方法は、携帯電話(スマートフォン)へのSMS(ショートメッセージ) + Web(インターネット)、および、固定電話へのIVR(オートコール)を複合した、新しいミックス・モード手法 = 「ノン・スポークン (Non-spoken) 調査」を採用しています。有効回答者数は、携帯700人、固定295人、計995人でした。
■岸田内閣 : 支持率48% vs 不支持率44%
今月の岸田内閣支持率は、前回(5月)から5ポイント減の48%、不支持率は7ポイント増の44%となりました。支持率と不支持率の差は、5月の16ポイントから4ポイントに縮まりました。
〔図1〕を参照してください。年齢別の支持率・不支持率のグラフです。岸田内閣の支持率は、ここのところ、4月(左図)のような若年層で低く、年齢の上昇とともに比率の上がる「若低-老高」型の階段構造を示していました。支持と不支持の付置関係については、18~29歳、30代の若年層では不支持が支持を上回っているものの、40代以上の中高年層では支持が不支持を上回り、とりわけ60代や70歳以上の高年層は4月、5月と支持率が上昇し、徐々に支持≫不支持が拡大するという安定的な傾向が続いていました。 ところが、今月(右図)は、50代で支持と不支持が逆転したのをはじめ、30代では不支持率が12ポイント上昇して不支持と支持のポイント差が拡大するなど、18~29歳から50代までの若・中年層における内閣評価の低落が生じました。
〔図1〕内閣支持率・不支持率(年齢別)
■コロナから物価・経済へ:イシューの転換か?
次に〔表1〕をご覧ください。岸田内閣の支持・不支持と政権の新型コロナ対策への評価について、推移をまとめたものです。5月から6月にかけて、内閣支持・不支持とは対照的に、コロナ対策評価には全く変化がみられません。コロナ対策評価と内閣評価との間の連動関係に、何らかの変容が生じたように思われます。
〔表1〕岸田内閣支持・不支持とコロナ対策評価
今月(6月)の調査では、従来の「岸田政権の新型コロナウィルス対策への評価」に加え、「岸田政権の物価対策への評価」、さらに「岸田首相が打ち出した『資産所得倍増プラン』への評価」を問いました。これらの質問に対する年齢別の結果は〔表2〕にまとめました。コロナ対策に関する評価の( )内の数値は5月の結果に相当します。全体の比率のみならず、年齢別の値にもほとんど変化のないことがわかります。むしろ、18~29歳では「評価する」と「評価しない」が逆転し、肯定的評価へのシフトが確認できます。にもかかわらず、内閣支持が低下し、不支持は上昇しました。
〔表2〕岸田政権の対策・政策評価(年齢別)
物価対策への評価に注目すると、「評価しない」の比率は、30代の76%を最高に、40代から60代までの実年世代で6割を上回っています。同時に尋ねた「物価の上昇で家計が苦しくなったと感じるか」に対する回答結果は、全体で「感じる」が66%、「感じない」が17%でしたが、とりわけ実年世代における「感じる」の比率は、30代=77%、40代=65%、50代=68%、60代=66%と非常に高い値を示しています。
表中の下段、岸田首相が打ち出した『資産所得倍増計画』に対する受け止め方も、全年代を通じて芳しいものではありません。コロナウィルスへの感染状況が落ち着きを見せ、社会に終息感のようなものが広がる中で、今度は物価の上昇という新たな経済的打撃が到来し、世間はさらなる試練を強いられています。
■参院選直前の政党支持率:比例代表の投票予定は?
さて、6月22日には参議院議員の通常選挙が公示されます。直前の情勢はどうなっているのでしょうか。昨年の衆院総選挙以降の、内閣支持率と主要政党の支持率の推移を〔表3〕にまとめてみました。岸田内閣の支持率の低下にともない、自由民主党の支持率も5月から6月にかけて若干減少したとはいえ、安定基調にあると推測されます。立憲民主党は一桁の支持率から浮上せず、日本維新の会は回復基調にはあるものの、総選挙直後の勢いは感じられません。「自民の一強状況」に大きな変化は見受けられません。
〔表3〕内閣支持率と主要政党支持率の推移
今度は、〔図2〕を参照してください。「参院選の比例代表でどの政党に投票したいか」の結果を、自民、立民、維新の3政党にかんして、年齢別にプロットしています。4月と6月の形状を比較すると、自民党には大きな変化はありません。ただ、維新の会については、18~29歳、および30代の若年層で比率の上昇が確認できます。また、立民も、40代や50代の中年層で値が上昇しています。
〔図2〕参院選比例代表の投票予定政党(年齢別)
野党の乱立という、与党に有利な競争条件下で行われる7月の参院選ですが、コロナへの感染が落ち着くことで、かえって新たな懸念要素としての物価上昇問題がクローズアップされるかもしれません。投開票日までの3週間、どのような展開がみられるのでしょうか。